酒場の店作りについて
考えること

良い店とは

・何屋であるかが分り易い
・箱(店)より人の存在が前に出ている
・メニューが愉しい
・その立地にある必然が感じられる
・商品と値段のバランスが良い

店は道具

記憶に残る店、また行ってみたいと思わせる店、そして長く愛される店には、
こんな要素がちゃんとあるように思われます。
そして、残念ながら
この要素の中に自分たち設計者が作れる事って、実は殆ど無いのです。
では、どんな役割を自分は担ったらよいのでしょう

設計者の役割

自分は以前から店の事を道具と考えてきました。そして、デザイナーではなく道具職人だとも言ってきました。
店は一番お金のかかる大きな道具だと自分は捉えています。
完全オーダーメイドの誂え道具です。
道具は、使い方を試行錯誤しながら、上手に使えば、段々と使い手に馴染み、
その使い手の唯一無二な存在となっていきます。
逆に使い方を誤り、手入れを怠れば錆付き、直ぐにガタも来ます。
店も同じだと思うのです。

育つ道具
育つ店をつくる

道具(店)は依存するものではなく、使い手が使いこなしていくモノです。

自分の仕事は、そんな道具(店)作りのお手伝いだと思っています。
どんな道具(店)を必要としているのか、
其処で何を出すのか、
どんな土地でどんなお客様に来てもらいたいのか、
使い手の考え、思いを聞き、
時には眠ってる思いを引っ張り出しながら
その使い手に最も馴染む道具はどんな道具だろうと
使い手と試行錯誤して(なんせ誂え品ですから)
使い手に合った店(道具)を作り上げていく事が自分の仕事です。

自分に合った良い道具を使い、良い仕事が出来た先に、その使い手が客を呼び、
使い手とお客様の間に、良い店の要素が段々と出来上がっていくのだと思います。